老年医学とは何か(「薬は5種類まで」より)
投稿日:2014年03月06日 / 記事カテゴリー:薬師湯について
昨日の続きです。
著者の東京大学大学院教授の秋下氏は、第一章の冒頭で「老年病学とは何か」を書かれています。
今日は、その一部をご紹介します。
老年病科とは聞きなれない名前かも知れません。
全国でもまだこの名前をあげて診療科を設けている病院や大学は少ないと思います。
老年病科は文字通り高齢者に特有の変化や病気を研究したり、治療する診療科です。
高齢者の病気は若い人や成人とは異なる特徴を持っています。
① 複数の病気を持つ人が増えてくる。
② 症状も人によってさまざま。若い人のように定期的ではない。
③ 薬に対する反応が人それぞれである。
④ 高齢者に特有の老年症候群が増加する。
⑤ 病気により認知機能も低下しやすい。
ざっと説明しますと、年をとればとるほど病気にかかる人が増えてきます。
1人で幾つも病気をかかえることも珍しくありません。
しかも高齢者の病気は若い人や成人に比べて非定期的にあらわれる傾向があるのです。
もの忘れや置き忘れがみられたり、腕や手足のしびれや痛みがでてきます。
これらの症状の背後にいったい何があるのか、これが原因と突き止めることが
なかなか難しくなってきます。
いくつかの病気を疑い、また実際に複数の病気があるために、
異なる診療科でそれぞれの薬を処方されると、多剤服用による影響も
考えなければなりません。
認知機能が低下していれば、症状の感じ方、訴え方も違ってくる場合があるでしょう。
さらに老化の程度は、人によってさまざまですから、薬を代謝する力も
成人よりずっと個体差が大きくなります。
同じ65歳でも若く見える人と年齢よりもずっとお年寄りに見える人がいるように、
同じ80歳でも若くてピンピンしている人とよぼよぼした人がいます。
若いときではこうした個人差があまり見られませんでしたが、年をとってくると
個人差が顕著になり、薬の効き方が違ってくることが予想できます。」
秋下教授の言われる通り、むしろこのような考え方をする医療関係者がもっといると
健康寿命が伸びるのでは…と思います。
それでふと思い出したのが、慶應義塾大学医学部名誉教授の廣瀬先生です。
廣瀬先生は超・高齢者、つまり105歳以上を対象に研究を続けておられます。
お二人の研究内容や目的が異なっているとしても、高齢者に関しての情報を知ることが
出来るのは有難い時代になったと思います。
これからも本の内容をご紹介していきたいと思いますので、お楽しみに!
今すぐに、読みたい方は本屋へ、または薬師湯にいらして下さい。
入浴後のひと時に、2階のラウンジで寛ぎながら、お読みいただけます。
皆様のお越しをお待ち申し上げております。