鏝絵(こてえ)
投稿日:2012年09月01日 / 記事カテゴリー:薬師湯について
皆さんは、「鏝絵(こてえ)」をご存じですか?
鏝絵とは左官がコテで細工をしたのを鏝絵と言い、漆喰装飾の一技法です。
今でも島根県西部にはかなり芸術的な作品が残っています。
実は薬師湯の看板(門札)も、鏝絵です。
薬師湯の場合、原材料はモルタルですが、鏝絵作家として有名な地元出身で兵庫県在住の品川さんの作品です。
温泉津にも複数の鏝絵がありますが、中でも安楽寺のは見事です。また町内の一般的な建物でも鏝絵を見ることができます。
温泉津では民家の壁や戸袋、土蔵の扉や腰壁や窓枠、また妻飾りなどに描かれています。
鏝絵は江戸時代の中期から防火対策として幕府が土蔵造りを奨励したことで、左官工事が増えた事も一因だそうです。
漆喰装飾は明治時代の洋館建築でも活用され、技術的に一層も高いレベルになったと考えられています。
鏝絵はその家の者が左官に描かせたものもあるようですが、多くの場合、左官職人が仕事をさせてもらったお礼や、その地域の繁栄や幸せを願って作られ・描いたものが多いようです。
出稼ぎ時代が長く続き、貧しい地域で職人になる事が宿命的であったと言われますから、残してきた家族を考え、他の人より収入を得るために、より高度な技術を得ることが必要でした。
そのような左官が、故郷に戻った時、見事な鏝絵を寺社へ奉納し、民家にも作品を残したと言われています。
ですから今残っている鏝絵の多くに左官の熱い思いやメッセージが感じられるのも、そのような事情があったからだと思います。
ぜひ温泉津へお越しいたき、鏝絵を見る散策をされませんか。
その後は、薬師湯で疲れをとって、カフェでリラックスなさってください。
お越しをお待ち申し上げております。