世界遺産の温泉・温泉津の薬師湯は、日本温泉協会の天然温泉の審査で最高評価の「オール5」を受けた100%本物のかけ流し湯温泉です。自然湧出で源泉脇。しびれるような心地良い「生の温泉」は、体を芯から温めてくれ、免疫力アップや未病対策に好評です。オール5は山陰では薬師湯だけです。

湯婆婆ブログ

温泉津の電線

投稿日:2012年08月09日 / 記事カテゴリー:

最初に温泉津の電信柱や電線の様子を見た時の私の第一印象は、「うわっ!」という感じでした。

私が温泉津に本拠地を移して薬師湯を経営している間に、あの第一印象の日から年月が経ち、いろいろな経験を通して考え、また発見もしましたので、今日はこのテーマにしたいと思います。

温泉津は重要伝統的建造物群(重伝建)の地域ですが、その理由の一つに、温泉津の町割り(区画)が江戸時代からほぼ変わることなく続いていることがあげられます。それも文化庁の重伝建の3段階の中でも最高ランクで認定されているほど、温泉津の町並みは格別なのです。

私は温泉津の道は一本道でありながら陽炎のようにウネウネしているのが特徴だと思っています。

そのため家々は四辺が直角に建てられているようでも、実は微妙な角度で建てられている家が多いと思われますし、更には道路がゆるやかにカーブをしているため、複雑な配線で電線がひかれています。

そのような難しい状況の中で、各戸に電線がひきこまれているわけですから、技術的にも大変です。
ですから温泉街、中でも薬師湯近辺の電線や引き込み線を、じっくりと眺めますと、こんな複雑な電線や引き込み線は余所では見れないと思えるほどです。

実際、私の経験でも、電気屋さんに電気工事をお願いした時に、綺麗にひきこんで欲しかったのですが、土地の形状から思うようには電線を引き込んではもらえませんでした。

このような経験をしているうちに、最近、温泉津でも電線の地中化の話が出てきています。
全国各地で電線が地中化されようとしている今日、ひょっとしたら全国的に電信柱とか電線がなくなるかもしれません。
このような時代を迎えている中、温泉津は他では見れない複雑怪奇な引き込み線が残されているわけですから、あえてそれらを残すことで、それがむしろ貴重な観光資源になると私は思っています。

全国、何処を探しても、1本の電柱から何十本の電線が配線されているのは見れないのではないでしょうか。
そして各戸の引き込み線の様子を見ていると、そこに繰り広げられたであろう近隣の人たちの人生ドラマやこの狭い温泉津に住む場合の人々の工夫を見ることができるので、ちょっとした歴史を感じていただけるのではないかと思っています。

将来的に貴重な観光資源になるであろうから電柱は残すべきと私は考えています。
最近流行りのように話題になる電線の地中化の話ですが、地中化しないといけないと考えている人達の多くの理由は車が交わせない、みっともないという理由からです。
その道路にはみ出しいるように見える電柱も、実は狭い道を歩いている時に、行き交う車から身を護ってくれる電柱だと私は考えています。
(今元気に歩いている人たちも、20年後は、ちょっと足元が覚束ない感じで歩くようになって、初めて車の速度が怖く感じられるでしょう・・・)

そんなこんなで私は温泉津は電柱の地中化はすべきではないと思っています。

今のまま電柱を残せば、20年、30年後には、温泉津に電線を見に来るツアーが来ると思っています。魅力的な町並みの為に、今のセメントの電柱を木の電柱に変える必要はありますが・・・

このような思いで、温泉津、特に薬師湯近辺の電信柱や配線をご覧になってみませんか。

この余所では見れないユニークな町並みは、薬師湯の屋上のガーデンテラスからご覧になれます。
是非、薬師湯へお越しくださいませ。 お待ち申し上げております!